現在、わかやまNPOセンターでは、6月豪雨被災地を含む地域での住民のみなさんの助け合い・支えあい活動を応援する「SDGsパートナーシップ基金[特別版]」(9月29日17時締切)、花王グループの社員有志のみなさんの拠出金を原資とした「花王ハートポケット俱楽部地域助成」(11月16日締切)の2つの助成受付をおこなっています。
SDGs基金は3万円を5団体、花王ハートポケット俱楽部は5万円を4団体と10万円を3団体に助成する、と1件あたりの金額はそう大きなものではありません。ただ「全国規模の助成金獲得に向けた腕試し」という趣旨も込めているため、応募に必要な書類は極力減らしているのが特徴。もちろん、年によって応募団体数は増減はしますが、比較的人気をいただいているようではあります。
一方、全国で募集される助成金事業のなかには、ご丁寧に「和歌山からの応募が少なく、ぜひご応募を呼び掛けていただければ…」というご連絡を頂戴するケースもあります。いくつかの団体がお送りくださる助成金レポートや、各助成金事業の「過去の助成実績」ページをみても、和歌山県内から採択されている団体は他の地域に比べて、人口割合などを鑑みても少ない・・・ような気がします。
では、なぜ全国区の事業への応募が少ないのか。大きく以下の2点かなと感じています。
1)既に応募・採択されており、新規に応募できない
2)助成金事業にかかる実務を担える人材がいない
15年、20年と活動している団体の中には1)のケースもみられます。助成金事業のなかには「過去に(もしくは過去●年以内に)同助成金に採択された団体は応募できません」というものもあります。一方で、意外に多いのは2)です。助成金事業を受けた後、事業をするのはいいが申請や報告に時間が割かれてしまう、と考えてしり込みしてしまう団体は少なくありません。
では、その原因はなにか。そもそもの人材不足や、一部のスタッフに負荷が集中してしまう問題、助成金や補助金を会計担当などバックオフィス機能を担う人材に直接充当することがあまりできない、一般管理費があまりとれない、などの理由が考えられます。
同様の問題は自治体からの委託事業にもみられており、先日ある市に所在する団体さんからも「行政からの委託事業費に一般管理費が認められず、会計や総務などを担う人材への人件費が出せず、実質赤字になってしまう」というご相談を頂戴しました。会計や総務担当者の人件費を合理的な基準で按分した金額をうまく事業費に含めて積算根拠を出すというのがまっとうな手段なのかもしれませんが、仮にそれができたとしても、行政からの委託事業費は年を経てもほぼ変わらず、昨今の物価や人件費単価の上昇に対応できない問題が発生してしまう、といいます。
事業を発注する側の行政機関は、原則としてベアがありますが(経済情勢によっては変わりますけれども)、委託先の人件費のベアのことなんて基本考えられていませんよね。行政では困難な専門的なこと、継続的に担えるからできることがあるからNPO等に委託するわけですが、その額が変わらないとなると優秀な人材の確保が難しいということになってしまいます。
それでなくても現在の労働市場は人材不足が顕著。言い方は悪いですが、資金をケチると専門性を有した人材に逃げられ、事業自体ががたがたになってしまう(=行政としても事業が成立しない)懸念も出てきてしまうのです。仮に委託費が変わらない(変えられない)のであれば、その事業内で自主収益が得られる仕組みを認める、などの工夫が行政側にも求められるかもしれません。
一方で、NPO側の工夫も必要になると考えます。一般管理費がとれないのであれば、なにか代わりとなる方策を考えることもできるかもしれません。一部再委託が認められているのであれば、事業の管理運営部分の支援を他団体に委ねるとか、その事業がよっぽど地域にとってプラスがあるのであれば腹をくくって(その代わりに他団体との連携を密にして)取りに行くとか。
すべてを助成元・行政の責任にしても何も始まりません。様々な工夫を持ち寄っていくことが大事なのかなと思います。