
「災害中間支援組織」という考え方がクローズアップされたのは、様々な話を聞く限り、2014年の広島土砂災害が大きなきっかけのひとつではないかと思っています。
2014年の広島土砂災害は、記憶にある方もいらっしゃると思いますが、深夜から未明に降った猛烈な雨の影響で土砂災害が多発したもの。いまでいう線状降水帯のように雨雲が同じところにかかり続けたことが要因とされています。この被災地に設置された災害ボラセンには周辺の住民だけではなく、被災地支援に取り組むNPOなども駆けつけたのですが、災害ボラセンでは有資格者でないとできない作業や危険を伴う作業にボランティアを派遣することができませんので、十分なコーディネートができない部分がありました。
そこで、現地のNPOが社協と連絡を取り合いながら、専門的なノウハウを持つ被災地支援団体のコーディネートをおこなったとされています。この試みが、社協主体の災害ボランティアセンターによる支援活動と、被災地支援団体による支援活動の2系統の支援体制を形作った、ともいわれています。
当方は2015年、茨城県での鬼怒川水害の際に、4日ほど常総市に行かせていただいたことがあります。現地には、社協が周辺の住民に呼び掛けて設置した災害ボランティアセンターと、被災地支援の経験が豊富な団体が集まる拠点の2か所があり、わたしは後者の拠点に常駐していました。
現地は外国人労働者が多い地域ということもあり、行政から提供される生活支援の情報をボランティアの方が翻訳した文書を編集・印刷して市内の避難所に届ける作業、物資の洗浄作業、毎晩開かれていた団体による情報共有ミーティングの記録などをさせていただきました。その時にも、堤防を越水したところの土砂や大きな樹木をどう撤去するかといった、通常の災害ボラセンではないような話題もあったと記憶しています。
大規模災害時にはよく行政の取り組みが遅いなどと批判される向きもありますが、行政職員のみなさんも被災者です。限られた人手で十分な支援を行うことが困難であることもみえてきました。
この頃になると被災地支援に携わる各種団体のネットワーキングの重要性が浸透し始めており、2016年熊本地震の際には「火の国会議」と呼ばれる支援団体の情報共有会議が行われ、社協ボラセンと火の国会議との深い連携もなされるようになっていきました。
同じ時期には、全国災害ボランティア支援ネットワーク(JVOAD)が立ち上がり、全国規模で災害ボランティア団体のネットワークを構築しようという動きが生まれており、「火の国会議」はその後、くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)として組織化。2026年熊本地震でも毎日のように支援団体の情報共有会議が開かれました。
2017年には台風15号房総半島台風による暴風、台風19号東日本豪雨などで大きな被害が発生した千葉県でも同様の組織体が設立(現在は災害支援ネットワークちば「CVOAD」として組織化)されるなど、都道府県域での災害ボランティアネットワーク組織が次々に設立されていきました。
内閣府ではこの2,3年、都道府県を対象とした交付金事業として災害中間支援組織の立ち上げを支援しており、和歌山県内では2025年度から和歌山県、和歌山県社会福祉協議会、わかやまNPOセンターの三者で協議を続けてきました。その結果、「わかやま被災者支援ネットワーク」として組織化することで合意し、このほど三者による調印が行われました。
和歌山県社会福祉協議会には、全国では珍しい「常設型災害ボラセン」として「和歌山県災害ボランティアセンター」が設置されており、大規模災害発生時には市町村に設置される災害ボラセンの支援をおこなうことになっています。わかやま被災者支援ネットワークは、平時は和歌山県や県災害ボラセンとの連携を進めるとともに、大規模災害が発生した際には専門的なノウハウを持つボランティア等の受け入れのコーディネートを担当することになる予定です。
大雨などの災害が懸念される際、災害が発生したときに、わかやまNPOセンターのSNSからの発信が賑やかになるのはこうした災害発生時の動き、災害ボランティアの存在が念頭にあります。
災害は起きては困りますが、地震はもちろん、大雨でさえ事前予測が困難な事例が増加しています。万一に備えつつ、万一の際にはスムーズに動きが取れるよう、情報収集に努めてまいります。ぜひ、みなさまのご協力をお願いいたします。
