


9月13日、和歌山県NPOサポートセンターと、NPO法人わかやま環境ネットワーク、てとこと市実行委員会、市民の力わかやまの四者共催で「NPO・ボランティアのための被災地支援講座」を開催しました。講師に、災害NGO結の代表の前原土武(まえはら・とむ)さんをお迎えし、会場・オンライン合わせて約50名の参加をいただきました。
前原さんは昨年1月1日に発生した能登半島地震を受け、翌日には現地に入り、およそ半年間は石川県外には出ずに活動を継続。昨年秋の奥能登豪雨もあったことから、能登半島に構えた拠点をベースに活動を続けておられます。現在は一時的に熊本県の八代市周辺に滞在し、先日からの大雨で被害を受けた地域で支援活動に従事されています。
前原さんは2011年9月の紀伊半島大水害では那智勝浦町の土石流発生現場付近で、2023年6月の台風2号・線状降水帯による水害では海南市や紀美野町周辺で活動されるなど、和歌山県にも縁があります。今回の能登半島地震と豪雨被災地では高齢化と過疎化が進んでいる地域を多く含んでおり、また半島という地理的条件ゆえ支援の手が行き届くのが遅れたことから、かねてより前原さんから「紀伊半島に位置している和歌山も決して他人事ではないですよ」というメッセージをいただいていたこともあり、今回の講座の開催ににつながりました。
まず和歌山県では、人口が多い地域は海沿いが多く、海沿いのルートが津波などで寸断された場合、山を越える道路も限られていることから、とたんに陸の孤島となって支援が行き届かなくなってしまう地域が多発する可能性があること、半島地域が広域に被災した場合、半島の根元にあたる地域から順に支援が届くとみられることから、和歌山県への支援の手自体がごくわずかになってしまう懸念があるという指摘がありました。
前原さんからは、災害は事件・事故とは異なり「加害者」がいないため、被災された方のストレスが行政などに向かいがちであること、一方で行政職員も被災し、職員数もかつてよりは減っていることから、災害時の行動のためのノウハウを十分に把握されている方が多いとも限らず、被災地ではみなさん手探りの活動とならざるを得ない、ということを十分認識する必要があるというお話も。
また、例えば日頃、様々なロープの結び方を実践できていない方が、被災した際にその時々に適した結び方がすぐにできるわけではなく、日頃、料理をあまりなさらない方がスムーズに炊き出しの手伝いができるとは限らず、日頃できないことは被災時にすぐにできるわけではないことを十分認識することが大切だ、とも。
そして、災害が起こった場合には、相手の立場に立った声かけや行動、また相手の先々の動きを意識した取り組みが必要だとして、平時からの行政・企業・住民の連携の大切さを訴えられました。
和歌山県NPOサポートセンターでは今後も、万一の災害に備えるための取り組みを、和歌山県庁とも連携して進めてまいります。
