
7月30日8時半過ぎに、スマートフォンに届いたエリアメールにびっくりされた方も少なくないのでは。
津波注意報が津波警報に切り替えられ、和歌山県NPOサポートセンターも一時避難される方の待機場所になりました。
現時点では、日本国内で今回の津波による直接的な被害は報告されていませんが、漁業関係では東日本の方と思われますが、養殖業者の生簀が被害を受けているようだ、という発信を見かけました。津波注意報が解除されてから被害が調査され、正式な数字が出てくるものと思われます。
さて、今回の津波は非常に広範囲かつ長時間にわたって津波が押し寄せたこともあり、津波に関する情報が随時発表されました。わたしのスマートフォンでは、民間の防災情報提供アプリ2つ、NHKのニュース・防災アプリからの通知のほか、和歌山県庁の防災メールを受信できる設定しています。ところが、津波警報・注意報の発表、津波観測情報の発表の通知が数分に1回程度届くものの、見た目同じ情報ばかり。津波警報・注意報についてはひょっとしたらどこか変更点があったのかもしれませんが、なにせ発令エリアが広範囲なので、なにが変わっているのか一目で判断できません。津波観測情報は、新たに更新された情報はアプリで入手できましたが、防災メールでは、まれに[更新]という文字が入って、確かに波高が変わっていることがわかるのですが、どこをどうみても同じメールが何通も来ている状態。
また、15時台頃から防災メールの受信頻度が遅くなったと思ったら、古い情報が2時間ほど遅れて届くようになっていました。40分遅れのメールの後に2時間遅れのメールが届くなどしていたため、ひょっとしたらデータが多すぎて発信順が錯綜したのではないかと思われます。
通知が多すぎたためか、スマホの電池の減りがいつもの2割程度早くなっているように見受けられました。かといって省電力モードにすると通知が届かなくなる可能性もあり、どうすればいいのか悩ましい状態になってしまいました。
ここから先は推測なのですが、津波警報・津波注意報の発令・解除については気象庁から全国の状況が一斉に配信されいるため、それを受信した事業者側がそのままデータを配信しているのだと思います。ただ、アプリ通知や防災メールの通知ではテキストを装飾することができず、プレーンテキストをそのまま流すことになったため、差分を太字にしたり赤文字にしたりといったわかりやすく見せる対応ができなかったものと思われます。
津波観測情報についても、全国のどこかの検潮所の数値が更新されるたびに、全国の検潮所のデータが一斉に流される仕様になっているのではないかと推察します。津波の到達や波高に変化があった、ということも大事だし、現状では変わっていない、ということも大事ですから。その情報を受けてアプリ側では差分を抽出して送信できるものの、防災メールでは気象庁から発出されるデータのうち、紀伊半島に関係するデータを抽出して送信する設定となっているため、紀伊半島以外で津波情報が更新されても同じデータが送信されてきた、ということなんだろうと思います。
どちらも重要な情報なのですが、「頻繁に通知が来てうるさいので通知を切ってしまう」という判断に誘導されかねない危険を感じました。
また、一部自治体では「津波浸水区域に居住する住民」を対象に避難指示を発出しましたが、それがどこなのかの明示がなく、住民が混乱した事例があったようです。例えば、A小学校区の一部にでも津波浸水区域があれば「A小学校区に避難指示が出た」と表示され、「あれ、うちの区域は津波浸水区域ではないんだけど…」という方が混乱した、というようなことがありえますよね。確かにエリアが広いと、津波浸水区域の地区名をいちいち取り上げるのも情報が長くなってわかりづらいのです。ここは住民側にもご自身の住まいが浸水区域なのかどうかまず認識いただく必要があるかもしれません。
そして、今回の報道では和歌山県南部、昨年新築移転された田辺市役所などの様子がよく放送されていました。ちょうど夏の観光シーズンということで、観光客の方も大勢いらっしゃったようですが、その地域の地理に明るくない観光客のみなさん、そして外国人のみなさんに避難場所についてどのように案内するか、わかりやすい言葉で案内するか、は教訓として浮き彫りになったかもしれません。
今回、出勤後に鉄道・バスが止まるケースが多くなり、和歌山でも帰宅困難状態になった方もおいでだとは思いますが、テレビなどでの住民のみなさんの反応、SNSなどを見る限り、「南海トラフの予行演習になったよね」という前向きな声が多く聞かれました。「今回は大きな津波が来なくてよかったね」というポジティブシンキングで、「津波に関する情報が出たら最善を尽くす」ことを繰り返すとともに、課題となった情報発信のあり方については、今のうちに最善な方法に改善できるように期待したいところです。もちろん、わたしたちもモバイルバッテリーの持参など、できることがないか考えたいと思います。
