
ここ最近、和歌山県NPOサポートセンターにお寄せいただく、NPO法人の解散に関するご相談の多くは、「長年活動をおこなってきたが後継者がいなくて…」「主要メンバーが体調不良で動けなくなって…」といったことが要因になっています。NPOやボランティア団体だけではなく、中小企業でも事業継承が困難になっているところが多い、といわれています。
確かに周囲の団体をみても、意識的にナンバー2を育成したり、代替わりを促したりといったところもある一方、なかなかうまくいかない、という悩みを抱えているところも少なくありません。
この手の調査で先駆的なのが「はまぎん総研」さんです。ずいぶん前からNPOの事業継承についての調査をされており、内閣府の全国調査を受託された(リンク先PDF)こともあります。わかやまNPOセンターでも「わかつく」第237号記事(リンク先PDF)で、この調査を引きながら記事にさせていただいたこともあります。
この調査では、NPOの後継者不足の要因として
- ● 企業のような報酬が得られるわけではない
- ● 現代表者のようには動けないというプレッシャー
- ● 社会構造的に現役世代が少ない
などが考えられると指摘しています。これは町内会や自治会、PTA・婦人会・老人会など様々な地域の組織も同様ですよね。中小企業であれば多寡は別として報酬はあります。一方、NPOは事業内容により代表者が報酬を得る場合もありますが、ボランティアやわずかの手当程度しか収入がない代表者も少なくありません。
周囲を見ていると、上記3つのうち、2つ目と3つ目の理由が大きいのではないかと思われます。2つ目については代表者とその周囲の腹づもりで解決できる話ですが、それがなかなかうまくいかない。
おおらかに「わたしの時とは時代も環境も違うんだから、好きにやってください」と宣言された先代代表者もいらっしゃいますが、嘘か誠か「わたしの目の黒いうちは誰にもこの団体は渡さない」とか息巻いている方がいらしたとかそうではないとか。また「後継者がいない」とか言いながら、後継者を育成していない(あるいは知らず知らずのうちに後継者の芽を摘んでしまっていた)というケースもあるようなないような。あくまで又聞きに基づくフィクションですが。
社会的な状況として、年々共働き世帯が増えていて、自治会・町内会・PTA活動ですら担い手不足というなか、またこれから現役世代人口が減少するなか、NPO・ボランティア活動にまで手を伸ばしてくれる方が今後はなかなか増えないことが想定されます。
後継者は勝手に現れることはありません。やはり意識的に後継者を探していくこと、見つけ出していくことが必要になるのかもしれません。そのためには、活動を広くPRするとともに、会員などとして団体に関わってくれる方を増やすこと、そしてリーダーは何に取り組まないといけないのかという棚卸と計画的な権限委譲が必要になるのかなと思います。
じゃぁNPOセンターはどうなんだといわれると返す言葉がないので、ぼちぼち取り組みます、としか言いようがないのですが・・・。