和歌山県NPOサポートセンターでは、内閣府NPO法人ポータルサイトから、NPO法人が所轄庁に対して提出する様々な手続きや申請をオンラインで実行できる「NPO法人ウェブ報告システム」の動作について解説する動画を作成し、2月9日に公開しました。
和歌山県は、このシステム導入当初からこのシステムに参加しており、和歌山県内4カ所での操作説明会も開催したことがありますが、利用はあまり進んでいないようです。
県内のいくつかのNPO法人から、導入を検討しているが操作がよくわからない、という声をいただいたこと、またPDF版のマニュアルもあるのですが、ページ数が多くどこに何が書かれてあるか探しづらい、ということもあり、まず事業報告書等の作成・提出について実際に説明した動画を作成した次第です。
所轄庁は、NPO法人側の画面を見ることができないという事情があり、そこでもご活用いただけるかな、というのと、これは公開してからご指摘いただいたのですが、税理士など士業の方も、ご自身でNPO法人を運営していない限りは、どのような画面なのか確認のしようがなかったとのことで、参考になりましたというお声も頂戴しています。
さて、実際の利用について・・・
【1】サービスの利用に必要なアカウントの作成は、SNSやウェブサービスの利用登録をおこなうのとあまり変わらない難易度ではないかと思います。ただ、法律に基づく手続きをおこなうことになりますので、法人情報とアカウントの初めての紐づけに際しては、郵便で通知が来るのを待つ必要があり、ここはネックになりそうです。利用を考えている方は早めにご準備を。
【2】実際の提出書類作成は、(1)ブラウザに必要事項を入力する、(2)専用ツールを作成する、(3)事前に作成したPDFデータ等のアップロード、の3通りがあります。ただ、所轄庁によっては、また項目によっては、書類の作成方法を制限していることがあります(例えば、東京都は当面の間PDFファイルの提出に制限しているようです)。事前に確認いただければと思います。
実際の難易度としては、事業報告書類については(3)が一番簡単だと思います。総会で承認された書類を、タイトルなどを書き替えてPDFでアップロードすればOKです。
なお、事業報告書類のなかの年間役員名簿や社員10名以上の名簿については、総会で承認する必要がない書類ですので、(1)ブラウザに直接入力するといいかと思います(ブラウザで入力するか、ファイルでの提出にするか選択できる項目もあります)。というのは、役員・社員名簿って毎年劇的に変わることはあまりないと思います。
次年度に同じ作業をする場合は、過去の履歴を呼び出せるため、過去作成したデータを元に日付などを修正すればそのまま提出できるという省力化が図れます。
(2)の専用ツールですが、マクロ付きのExcelファイルのため、セキュリティの観点から利用しづらい団体さんもあるかもしれません。一応最初に起動した際に回避方法が掲載されていますが、そこをしっかり見ないとその後ファイル編集ができなくなる方がいらっしゃるかも。その意味では、(2)はパソコン操作に慣れている方向けではないかと思います。
なお手元の環境では、Microsoft365に付属しているOnedrive上に専用ファイルを書き出すと、ファイルパスが長すぎるという理由でファイル保存ができないことがありました。別フォルダに書き出せばいいのですが、お使いのPC環境によってはこのようなエラーも出そうなので、やはりパソコン操作に慣れている方向けかな。。。
なお、所轄庁側がどのような管理画面で書類を確認するかはわかりませんが、ブラウザ入力・専用ツールで提出されたほうが、入力内容の確認や、内閣府のNPO法人データベースへの転記がラクになるメリットもあるようです。
また、会計ソフトを利用しているとか会計事務所に依頼しているとか、そういう団体さんの場合、決算書類はそもそもPDFや紙ベースで提供されるというところも少なくないかと思います。そうなると上記(3)が一番簡単ですよね。(1)(2)にしようとするとわざわざ転記する必要があり、手間が増えます。
ということで、会計事務所さんなどと連携して運営しているNPO法人の場合は、
事業報告書・活動計算書・貸借対照表・財産目録・計算書類の注記はPDF提出、年間役員名簿・社員10名以上の名簿はブラウザ入力
・・・が便利ではないかと思われます。
また、それほど大きなお金が動いていないNPO法人の場合はすべてブラウザ入力する、でも十分かと思います。
【3】事業報告以外の実務についてもオンラインで可能です。定款変更、役員変更についてはブラウザ入力で十分可能ではないかと思います。添付書類として総会議事録や住民票をPDFにしてアップロードする必要がありますが、特に役員変更の場合も、最初は全員の住所氏名の入力が必要ですが、一度提出すれば、履歴から情報を呼び出すことで次回以降の入力の手間を削減できる可能性が高いです。
この報告システムは関与先の税理士や行政書士、NPO支援センターなど、外部のアカウントを追加することができるという特徴があります。「閲覧者」「支援者」などとして登録してもらうことで、書類の中身を確認したり、助言をしてもらえたり、編集をしてもらえたり、士業の方であれば委任状を添付のうえ提出をお願いできたりといったこともできます。ここはNPO法人ならではの機能かもしれません。
和歌山県内の団体さんであれば、和歌山県NPOサポートセンターにお知らせいただければ、書類の確認などをすることが可能ですのでお気軽にお知らせください。