和歌山県NPOサポートセンターでNPO法人の運営に関する様々なご相談に対応させていただいています。
NPO法人として必要な所轄庁への事業報告や役員変更、定款変更等の手続き、法務局への役員変更登記にまつわる相談が多いのですが、意外に厄介なのが「役員の変更」です。
役員任期が到達したときの取り扱いは「わかやまNPO広場」に細かく記載していますのでこちらをご覧いただければと思うのですが、任意団体やNPO法人以外の総会で役員が選任された際、「では選任された役員の互選で代表を決めますので、新役員の方は別室にご移動を。会員のみなさんはしばし休憩ください」なんてやりとりを見たことがありました。
2012年4月の法改正まではNPO法人は理事全員が登記でしたので、新任期が始まってから登記をおこなって、県庁へ役員変更届を出していました。この法改正で代表権を有する理事を選任することができるようになりましたので、NPO法人でも先述のようなことができるのか、とか思っていたら、一般的な所轄庁ひな形で作成した定款では、登記の場面では「新役員が任期に就いた後でないと代表者の互選は有効にならない」という指摘がありました。ということで、役員を選任する総会と、代表権を有する理事を互選・選任する日が別の日となることが一般的です(なお、理事が全員再任の場合は、新しい任期に理事を務める人が全員いますので、新任期開始前でも代表者互選ができる例外があります)。
ところが、これだと総会と互選・選任の場をそれぞれ設ける必要があり、手間がかかります。そこで、一部の所轄庁では「役員任期の短縮規定」を設けられるようにガイドラインを設定するようになりました。
総会で役員を選任する場合は、仮に総会で役員が選任されないまま任期切れになった場合、次の総会終了時まで任期を伸ばすことができる「伸長規定」を盛り込むことが法律で認められています。短縮規定はその逆で、新しい任期の役員を選任する総会終了時でいったん任期を終了し、総会で選任された方が即日役員に就任・再任できるもの。この短縮規定を定款に盛り込むことで、役員選任の総会と、代表権を有する理事を選任する機会を同じ日に設定できることになります。
和歌山県ではこれまでこのような規定は想定されていなかったのですが、他県で実績があることから、今後このような規定を盛り込みたいというニーズがあった場合にも対応することになったそうです。伸長規定と短縮規定を合わせて設けることで、役員任期の前でも後でも役員選任と代表権を有する理事の選任が同時にできることになります。
なお、NPO法の規定により、役員任期の伸長規定は、定款で「総会で役員を選任する」としている団体でないと導入できません。これにより、役員任期の短縮規定も事実上「総会で役員を選任する」団体でないと導入できないことになります(そうでないと役員任期が繰り上がるばかりになりますから)ので、ご注意を…。
具体的な実務はこちらをご覧ください。これに伴う定款変更は認証が必要となりますので、すぐに導入することはできません。