先日、静岡県でお祭りの山車を曳行していたところ、山車が横転し、1人がお亡くなりになるという事故がありました。山車には構造的な欠陥はみられなかったということのようなので、操縦ミスの可能性が高そうです。
このお祭り、新型コロナの影響で長らく中止となっていて、4年ぶりの開催になったという報道がありました。ひょっとしたら山車の曳行に慣れていない方がいらっしゃったのか、手順を忘れてしまっていたのか、という懸念を感じました。そういえば、ほかの地域でも山車が電柱に衝突して…などという事故が目立ったような気がします(よく似た事故があればメディアも大きく取り上げてしまうということもあったかもしれませんが)。
2020年から2022年にかけて新型コロナの影響で中止を余儀なくされて、2023年に3年ぶり4年ぶりに開催される、というイベントはたくさんあります。和歌山県内のNPO・ボランティア団体が開催するイベントにもそのようなものはあります。
中の人が初回からお手伝いしている「おどるんや~紀州よさこい祭り~」も中止や規模の大幅縮小などのブランクを経て2023年11月にようやく2日間の開催を復活させました。とはいえ、数カ月前から準備をするイベントゆえ、いきなり元の規模には戻すのは困難で、2カ所・4演舞会場と最盛期のおおよそ半分の規模での再出発です。
「おどるんや」は規模の縮小で再出発となりましたが、地域の例祭などは本来のしきたりに則った形で、あるいはこれまでと同様の形で復活するケースがほとんどではないかと思われます。3年、4年と間が空いていれば、それまで仕切ってくれていた人に手伝いを得ることが困難になったり、ちょっとした段取りを忘れてしまったり、といったことが起こるのは傍から見ていると想像がつきます。
でも、当事者にしてみると、今年こそ従来通り開催できる!と高揚するのは当然のこと。特に地方に行くと人口(担い手)も年々減っています。そこにきて最近は様々な価格が高騰しています。従来通りの資源(人材・予算)で従来通りのことができることはもうあり得ないのかもしれません。
もう15年ほど前でしょうか、あるイベントを継続するかどうかの協議の際に、どなたかが話されていたのが印象に残っています。
「取り組みをなくしてしまうと、0から興さないといけない。規模を小さくしてでも継続できれば少なくとも0から興す必要はなくなる」
確かにそうなんですよね。0.1でもいいから続けていると運営のノウハウは少なからず継承していけるかもしれません。0になるとノウハウの継承すらできなくなってしまいますから。
この感染症は、ひょっとしたら全国各地の文化、様々な小さな営みに大きなダメージを与えてしまっているのかもしれません。