NPO法人は法務局に法人登記をしていますので、登記事項に変更があれば変更登記が必要です。
NPO法人が登記しているのは、(1)法人の名称、(2)事務所の所在地、(3)法人の目的・活動分野・行う事業、(4)代表者の住所と氏名、(5)設立年月日、(6)解散の事由を別途定めている場合はその要件、の6点が基本。(6)はめったにないので実質5点ですね。
ところが、所轄庁や県外のNPO支援機関の方々と話をするに、この法人登記が正しく行われているがどうか、かなりアヤしいといいます。定款の変更に伴い、登記事項の(1)(2)(3)が変われば、所轄庁に変更後の定款とともに登記事項証明書を提出しますので、登記の変更は恐らくできていると思います。怖いのは(4)でして、役員の任期が到達するたびに変更登記が必要になるということをご存じではない法人が相当数いるのではないか、という話がまことしやかにささやかれています。
NPO法に基づき、役員任期は1期あたり2年を超えない範囲で定款で定めるということになっています。多くのNPO法人が2年任期を採用していますが、再任(法務局では重任といいます)した場合も役員の変更にあたるのですが、再任=役員自身は変わっていないので登記不要、と考えられている団体が少なくないとみられています。
本当に役員が変更される段になって、あるいは解散等を決議して解散登記をする段になって、はじめて役員変更登記が1回も行われていないことを知るケースもみられ、登記懈怠(けたい)として過料処分になることもあります。
総会で役員を選任すると定款で記載されている場合に限り、「任期が到達した後もやむを得ない事情で役員選任ができていない場合は、任期末終了後最初の総会が終結するまで任期を伸長することができる」という規定を盛り込むことができ、それが適用されるケースもありますし、この規定を無理くた適用させようとするケースもみられます。ただ、それだと事業報告書などはちゃんと総会で決議されているのに役員選任はできてなかったの?という別の疑念を抱かざるを得ません。そもそも認定NPO法人を目指すのであれば、この時点で法令違反となって認定NGになる可能性が高くなります。
一方で、役員変更登記をする段になると、法務局での書類が煩雑でややこしい、という声も少なくありません。
特に代表権を制限できるようになった2012年法改正以降、代表権を有する理事をどうやって決めたのかを証する書類の提出が求められるようになり、余計にややこしくなった気がしています。代表権の制限についても理由があってのことなので、それ自体否定するものではありませんが、もっと簡素に法人登記ができないものかとか考えてしまいます。
とはいえ、法人格を有する以上、法人登記は必ず求められます。
和歌山地方法務局ではオンラインによる登記相談の受付も始めていますので、登記は必ずおこなってくださいね。