和歌山県は7月11日に、子ども食堂を新規に設立しようとする団体、既存の子ども食堂の機能強化を図ろうとする団体を対象とした補助金の募集を開始しました。
現在、和歌山県内には50箇所程度の子ども食堂があるとみられています。和歌山県はこれを200箇所にまで広げる計画で、今年から3年間、50箇所を上限とした補助金事業を設定することになったようです。和歌山県内の小学校の数は約200。つまり1小学校区に1か所の子ども食堂が設置される計算となります。
1小学校区に1か所の子ども食堂…ができるに越したことはありません。
四半世紀以上前ですが、わたしは大学で県内の学童保育の状況について調査をしていまして、当時は和歌山県内の学童保育所数は小学校総数の20%に満たず、学童保育の「設置率」は全国最下位でした。一方で、和歌山県にはごく小規模の小学校も少なくなく、東京都心のようにすべての小学校に学童保育を併設するのは現実的ではありません。子ども食堂も同様のことが言えるのではないかと考えていまして、県内のある子ども食堂の運営者に考えを聞いてみました。
わたしもそう思う。でも、1小学校区に複数の子ども食堂があってもいいんじゃない?
そう言われてハッとしました。確かに子ども食堂は学童保育のように毎日開かなければならないものではありません。月1回開設というところも少なくありません。また、子どもと運営側の相性もあるかもしれません。そう考えると、1小学校区に複数の子ども食堂があり、子どものニーズや状況に合わせて利用できるところを選択できてもいい。それは確かに理にかなっています。そうであれば200箇所の子ども食堂ができても大丈夫ですね。
一方、6月に県外のNPO支援組織のみなさんと意見交換をさせていただきました。そうしましたら、「子ども食堂が増えたのはいいけれども、補助金や助成金などの実務に慣れている団体が少なく、運営が大変だ」という声が複数の県から出てきました。
和歌山県の支援事業は、原則として立ち上げ期の費用を支援してくれるもの。その後の運営は団体ご自身でしていただく必要があります。先の運営の見通しを持ちつつ、補助金や助成金等の事務もしつつ、新規に子ども食堂を50箇所設立する方針を達成するには、結構な力技かもしれません。
理想をいえば、子ども食堂からさらに一歩進んで、地域のあらゆる方が利用できる「地域食堂」が増えれば、一人暮らしの高齢者の方、地域で人と人のつながりを求めてらっしゃる方などの居場所になる可能性があり、地域資源の有効活用にもなるのかなと考えています。既に県内でもいくつか「地域食堂」の形態をとる場所ができはじめているようです。
わかやまNPOセンターでは今年、子ども食堂のネットワーク組織の方を理事に迎えました。随時連携をとり、場合によっては和歌山県NPOサポートセンターの事業も併用しながら、文字通り持続可能な子ども食堂の運営をお手伝いできないか、考えているところです。