
NPO・ボランティア団体あるあるのひとつが「日当などの寄付」。
なにかの助成金や補助金などを得てイベントを運営した際に、当日手伝ってくれた方に日当をお渡ししつつ「会の運営のために寄付をお願いできないか」として寄付してもらう…そんなケースがあります。
補助金や助成金事業では、対象事業に直接関わった方への日当や旅費の支給は認められていることがあります。そこで、関わってくれた方の善意に頼り、団体のたくわえを少しずつ増やして、次の事業の経費として活用していくわけです。もっとも、そのような事業に関わってくれる方は、その団体や事業の趣旨に賛同し、善意で手伝ってくれている方がほとんど。交通費や駐車場代などの実費はともかく、日当などをあてにしていることは稀で、多くの場合は「そういう事情であれば喜んで協力しますよ」で話がつきます。わたしも1日お手伝いしたイベントの主催者から依頼があって、協力したことが何回かあります。
ただ、「寄付は任意である」ということを抜きにして上記のようなやりとりがおこなわれるのは危険です。
主催者側が寄付を求めること自体は悪いことではありません。先述のように、日当などをお渡しした際に、寄付をお願いすることも悪くありません。しかし、それが強制的におこなわれる場合は寄付とはいえなくなってきます。
日本ファンドレイジング協会は「寄付者の権利宣言」というものを発表しています。全文はこちらからご覧いただけますが、以下の5項目が掲げられています。
- 寄付者は、寄付に際して、寄付先、寄付目的、寄付金額、寄付物品を自身の意思で決めることができます。
- 寄付者は、寄付金や寄付物品の使途目的をあらかじめ知ることができます。
- 寄付者は、寄付先の組織、事業内容、財務情報について知ることができます。
- 寄付者は、寄付金や寄付物品が実際にどのように活用されたかを知ることができます。
- 寄付者は、寄付先に、自身の個人情報の保護を求めることができます。
いかがでしょうか、みなさんの団体ではどこまで対応できているでしょうか。
仮に「うちの団体は日当を支払った方には、お支払いした額の●割を団体の今後の事業運営のために寄付いただくようにお願いしているんです」という団体があったとしてですよ、最初からそのことを知ったうえで団体の活動に関わるのであればまだいいと思うんですが、後からそう言われて「いまさら…」ということにならないか、すごく心配もします。さらにいえば、その日当が源泉徴収の対象になる性格のものだった場合、先に源泉徴収をしたうえでお渡しし、寄付をお願いすることになることになるのですが、それは大丈夫なんでしょうか…。
もっとさらにいえば、日当から寄付をいただくことを前提にした場合で、本人に渡す領収書を1枚にまとめてしまっているというケースを聞いたことがあります。いや、これって間違ったら領収書の意味をなさず、助成元・補助元からNGを食らう可能性が高いのでダメですよ。日当5,000円わたして、寄付を2,000円いただいたから、と領収書に3,000円て書いちゃったら、日当5,000円を渡した証拠にはなりませんからね。
あくまで、寄付は任意である以上、日当等からの寄付をお願いする場合は、
①正規の日当等をお渡しし(源泉徴収対象の場合はその処理も行う)、その額の領収書を受け取る
②任意の額の寄付をいただき、その受け取りの領収書を渡す(領収書の写しも保管する)
という手順が必要になりますよね。手間はかかりますが、そうしないと、ただしい資金の流れがわからなくなってしまいますから。
特に、長年活動している団体では、なんとか活動資金を確保しようと、このような形で日当等から寄付をいただくような処理を行っているケースが多いかと思います。あくまで寄付は任意であることを前提に、お金の動きが正しくわかる取り扱いをなさってくださいね。
