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大雨情報の見方…わかやまNPOセンターの日記

投稿日: 2025-07-23
情報更新日: 2025-07-20
タグ: 防災
猛暑のち豪雨。その中間の天気はないんかい、と言いたくもなります…

 ブログの中の人は、鉄っちゃんでもあると同時に天気オタクでもあります。5年遅く生まれていたら、創設されたばかりの気象予報士を目指していたかもしれません。超就職氷河期だったし、当時なら勉強しても身についたと思うので(苦笑)。

 さて7月17日、和歌山県内は北部を中心に大雨となりました。雨や雷の音で目が覚めましたが本当に土砂降りでした。未明に警報も発令され、交通にも影響が出ました。
 さてこの時の和歌山地方気象台のアメダス観測データのスクリーンショットはこちら。

 これだけみると、5時までの1時間に36.0ミリ、7時までの1時間に49.0ミリの雨が観測されていることがわかります。しかし、気象台アメダスのページは1時間ごとのデータだけではなく、直近8時間に限っては10分ごとのデータを見ることができます。その抜粋がこちら。

 これをみると、6:50までの1時間で58ミリの雨量が観測されており、毎時0分ごとの記録とは9ミリの差があります。
 さらによく見ると、6:00から10分間で13ミリ、6:10から10分間で11.5ミリ、6:20から10分間で12.5ミリとこの30分で37ミリの雨量を観測しており、6時台前半に、より強い雨が降ったことがわかります。
 そりゃそうですよね、天気はリアルタイムで動いているので、毎時00分で天気を区切る、ってことはできないわけです。便宜上、00分で区切った数値が公開されている、ということなんですね。

 また、和歌山県も独自に県内各地に雨量計を設置しており、そのデータは和歌山県河川・雨量防災情報で見ることができます。この時間帯の海草振興局管内の雨量計のデータの抜粋はこちら。

 これを見ると、気象台アメダスとはまた違った傾向がみえてきます。
 上記のうち和歌山市内に属するのは一番上の「梅原」から「和歌山市中消防署」までの7か所です。気象台アメダスでは6時台が最大雨量でした。県の雨量計でもほとんどのところで6時台(上記では7時の欄)に最大雨量を記録していますが、和歌山市北部の梅原だけ4時台がもっとも雨量が多く55ミリを観測しています。また、同じ和歌山市内の5~6時台でも東部の岡崎や塩ノ谷(四季の郷公園の北側です)の雨量は20ミリ台と気象台アメダスの半分くらいの雨量にとどまっています。和歌山市でも数キロ離れるだけで雨の降り方に大きな違いがあることがわかります。
 また海南市下津の毎時0分までの集計を見ると1時間雨量は最大46ミリなのですが、右側をみると、6:40までの1時間に71ミリの降水があったと記録されています。なので、集計時間が変われば、雨量の見え方が全然異なることになります。
 つまり、気象台のアメダスの数値だけでは、また毎時00分までの統計だけでは、その地域の雨量を正確に把握することが困難、ということになります。

 そのため気象台では、雨雲の状況をリアルタイムで監視していており「解析雨量」を算出しています。アメダスの数値は小さくても、どこかで基準値を超える雨が降ったと解析された場合、降ることが確実な場合は各種気象情報を発表します。

 1時間100ミリを超えるような猛烈な雨が降った際に「記録的短時間大雨情報」が発表されますが、この報道で「レーダーによる解析で、●●付近では、1時間に約100ミリの雨が降ったとみられる」といわれるのが解析雨量の結果なんですね。ちなみに、アメダスでそのような雨が観測された場合は「●●では、●時●分までの1時間に102ミリの雨が降った」のように断定して報じられます。

 また、天気アプリのなかには「●●市で◆ミリ/hの雨が降る恐れがある」というアラートを出してくれるものがありますが、この推計にも解析雨量を使っています。
 アラートを見て「え、和歌山市で◆ミリの雨が降るの?」と驚かれることもありますが、これはその時その時の雨雲の強さを解析し、1時間に◆ミリの雨を降らせる力がある雨雲が近づいていることを知らせるだけです。仮に1時間に80ミリの雨を降らせる雲が実際にその地域にかかったとして、10分で通り過ぎて雨が収まれば、時間雨量は約13ミリです。

 例えば降水予測が
  10:00~ 10mm/h
  10:10~ 20mm/h
  10:20~ 120mm/h
  10:30~ 10mm/h
  10:40~ 5mm/h
  10:50~ 0mm/h
 となっている場合は、1時間で1.6+3.3+20+1.6+0.9=27.4mm程度の降水があるかもしれないということを示し、実際に120ミリの雨が降るわけではない、ということになります。

 鉄道会社も独自に雨量計などを運用しており、沿線で規定の雨量に達した場合は徐行や運転見合わせをおこないます。これもアメダスの数値とは異なりますので、気象台のアメダスの雨量が少なくても運転見合わせになることはありうる、ということになります。

 ということで、
 ・気象台アメダスの数値だけではなく、自治体等が設置している雨量計も補助的に使うことで、雨の降り方をより正確に把握できる(気象台アメダスだけが絶対ではない)
 ・天気アプリの降水予想は、正しい見方を知ることで、雨の降り方のイメージの解像度が上がる
 ということをご理解いただければいいかと思います。

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