わかやまNPOセンターは、近畿ろうきん社会貢献預金「笑顔プラス」からのご寄附を原資に、和歌山県内で防災・減災につながる事業を実施しています。
2024年度は和歌山市を事業対象地域と設定しまして、和歌山市社会福祉協議会に対して非常食セットを寄贈させていただくこととなり、11月30日(土)に寄贈式を開催しました。
ご覧いただけますとわかります通り、会場は列車のなかです。防災講座はここから始まりまして、参加者のみなさんは和歌山駅から、JR西日本の車庫の一つである新在家派出所に列車に乗ったまま移動(本来の線路ではなく、回送線に入っていく不思議な感覚も感じながら…)。
新在家派出所に到着した車内では、和歌山大学紀伊半島価値共創基幹「Kii-Plus」の西川教授、JR西日本和歌山支社のご協力をいただき、鉄道津波防災講座を実施しました。笑顔プラスの事業には2回目の登場です(前回は御坊市の紀州鉄道で開催しました)。ちなみに、和歌山市内で一般の方を交えた鉄道津波防災講座の実施は実は今回が初めてとのこと。
JR西日本によると、きのくに線の白浜以北の区間では1/4を超える区間が津波浸水区域に指定されているそうです。また駅と駅の間の距離が長い区間も多く、和歌山地区に配属されている乗務員を対象にした研修や訓練も重ねていますが、乗務員だけで多数の乗客の迅速な避難は困難です。
そこで、乗客のみなさんにも「率先避難者」として乗客の避難誘導を共におこなっていただこうというのが現在の津波避難の考え方だそうです。
上の写真にある簡易はしごは、JR西日本管内で、津波第1波の到達まで1時間以内とされている路線を走る車両には全車両に搭載されており、乗客自らが操作する前提になっています。これとは別に手すりがついたはしごがJR西日本の全編成の乗務員室に配備されているとのこと。
JR和歌山駅の津原副駅長にも講話をいただきました。防災を担当していた際に発生した東日本大震災を受け、津波からどう乗客と乗務員を守るのかを検討した結果、従来の鉄道業界の常識を覆し、和歌山エリアでは大きな地震が発生した段階で運輸指令の指示を待たずに乗務員の判断で避難行動をおこなってもよいと明文化したそうです。
南海トラフの巨大地震の最悪の被害想定では、和歌山県民の10人に1人が亡くなり、和歌山県民のおよそ半分が避難生活を余儀なくされるとされています。
ある程度予測ができる大雨や暴風などの悪天候とは異なり、大地震はいつ襲ってくるかわかりません。鉄道を利用しているときかもしれません。あらゆるタイミングで「もしいま揺れたらどうする」ということを考える必要があると改めて思わされました。
改めまして「笑顔プラス」にご預金をいただいたみなさま、近畿労働金庫のみなさま、西川教授とJR西日本和歌山支社のみなさま、本当にありがとうございました。