全国のNPO支援施設のなかでも極めて珍しい「カラー印刷機」がある和歌山県NPOサポートセンター。センター内で有償でご利用いただける機器はこのカラー印刷機のほか、長尺プリンタ、コピー機、ラミネート機の4種類あります。これらの機器は、県が直営で運営していた2002年から一貫して「ご利用に際しては原価をいただく」こととなっています。県直営当時は「和歌山県NPOサポートセンター運営委員会」という組織があり、そこが利用に必要なインクや印刷用紙などの資材を調達して、原価で提供することとしていました。
2006年に指定管理者制度が導入されて以降も、これらの機器については原価で提供することが求められていまして、県直営時代の価格を引き継いで運営してきました。
時は過ぎて2018年5月、印刷機が現行の3代目のカラー印刷機に入れ替えになりました。それまで2代の印刷機はマスターロールに原稿を焼き付けて印刷する方式で、単価も変わらなかったのですが、3代目は業務用インクジェットプリンタと印刷方式がガラッと変わりまして、原価を再計算する必要が出てきました。
さてどうしたものか…ということで、まずは業者さんから印刷単価表をいただきました。これはJIS(日本産業規格)に基づいた標準原稿を印刷した際のインク代単価で、これを基準に用紙サイズごとのインク代単価を算出します。一方、用紙代についてもサイズごと、用紙種類ごとに1枚当たりの単価を算出。インク代単価と用紙代単価を足して、消費税を加味して1枚当たりの印刷単価をはじき出しました。
結果、再生紙(A4・A3・B5・B4)、色上質紙(A4・A3・B5・B4)、途中からラインナップに加わった高白色紙(A4・A3)、封筒用紙(角2・角3・長3)、通常ハガキ・往復ハガキの15種類それぞれに単色印刷・カラー印刷の2種類の単価設定ができたという流れです。それぞれについて小数点第2位まで求める細かい計算をしています。
さて、ここ最近インク代や印刷用紙の調達価格の引き上げが相次いでいます。1枚当たりの引き上げ幅は1円未満ではありますが、それを数百枚、数千枚と印刷しますと数十円、数百円単位の差額になり、無視できない額になってきます。価格改定の通知があった場合には、どれくらいの改定になるのかを調べて、印刷機の単価設定の修正が必要かどうかを判断します。修正が必要と判断した場合、また小数点第2位まで単価を求めて、価格のシミュレーションをおこなっています。
そんな印刷機ですが、利用される団体のみなさんのことを考えるとできるだけ安価に抑えたいのですが、かといって赤字を出すわけにもいきません。かなりギリギリの線をついて単価を設定しています。ただ、小数点第1位の扱い方によって、少しおかしな単価になっているところがあります。普通はA4とA3は用紙のサイズが2倍違いますので、A4単色が1枚2円であればA3単色は4円に設定…と思いきや、3円です。一方でA4カラーは1枚3円に対してA3カラーは1枚7円と2倍以上になっています。またB4単色が1枚2円、B5単色も1枚2円です。こうしたところは修正をしたいのですが、試算をすると「あちらを立てればこちらが立たず」になるところが多く、なかなかに難しいところです。
ちなみに、このカラー印刷機、導入から6年半経過しました。製造終了から時間が経過し、既に一部の部品の在庫がなくなっているとの情報が入りました。新機種導入に向けた調整を始めていますが、なにせ高額な機器ですのですぐに調達できるものではありません。新機種に切り替わるまで、無事に印刷できることを願うばかりです。
新機種に切り替わったら、たぶんまた印刷単価の設定をし直すことになりそうです、とか考えていたら、製紙業界ではこの10月に納入価格の引き上げが一斉に行われたとの報道が。ひょっとしたら新機種導入の前にまたまた印刷単価の見直しが必要になる…のかもしれません。また、細かい数字とにらめっこする日が来るのかも。