2023年2月にわかやまNPOセンター法人化20周年記念事業として、NPOと知事との対話集会を開催しましたが、その続編として「わかやまNPOフォーラム2024 第2回知事と語る会」を3月17日に和歌山ビッグ愛で開催し、会場・ZOOM合わせて約40名のご参加をいただきました。
昨年同様、西川一弘さん(和歌山大学紀伊半島価値共創基幹 災害科学・レジリエンス共創センター教授)をコーディネーターに迎え、岸本周平知事に対し、今年1月に和歌山県内のNPO法人のみなさんからお寄せいただいたご質問・ご提言のなかから10本の質問・提言をさせていただきました。
1本目は来年度予算の特徴を総花的におうかがいしましたのでそれを除く9本の概要は以下の通りです(文責はわかやまNPOセンターにあります)。
1)和歌山県内には、患者の診療情報をとりまとめ、県内連携共有カルテを実現するシステムがある。大規模災害時に威力を発揮すると考えられ、県民や医療機関等への周知を強化してはどうか。
能登半島地震もあったが、医療に関する情報は重要。医師会や医務課等、医療に関する部局と連携しながら呼びかけを強めていきたい。
2)子育て期の離職等を防ぎ、母親を孤立させないため、母親に対する「アウトリーチ支援」をより広げてはどうか。
現在、生後4か月までの乳児の元に訪問する事業を市町村主体で実施中。それ以降のアウトリーチも必要で、検討はしたい。たた、子育て支援には社会全体で抜本的な見直しが必要ではないかとも考えている。
3)在住外国人が増加しており、その子どもも増加すると予想される。外国人支援に取り組む各種団体と県・教育委員会、労働団体などとのネットワークを構築し、学校生活などの相談を受け付けられないか。
外国人を雇用している企業においても日本語教育が課題と聞いており、新年度に支援事業を予定している。その家族への支援についても検討したい。
4)県外の大学等に進学したとしてもUターン就職への意識につなげられるよう、中高生のころから県内企業への意識がより高まるよう、地元企業の魅力が伝わる施策が展開できないか。
中学2年生に対して出前授業ができないか、ワーキングチームで検討している。また工業高校や商業高校のレベルアップも検討したい。一方、保護者の意識も変わらないといけないと思う。
5)新宮・東牟婁エリアにおいて、医療的ケア児への理解を深めるための啓発活動の強化が必要と考える。
新宮東牟婁エリアでは、そもそも学校現場などで医ケア児の支援をされる方の年齢層が高くなっており、若い世代がほとんどいない。移住定住の政策のなかで医療等の専門的知識を有する方がいればなにか優遇ができないかも含め考えている。
6)不登校には様々な形態があり、教育機関による適応指導教室だけでは十分にまかなえないとの声がある。行政と民間の居場所等の意見交換や連携、民間の居場所等への財政支援などの取り組みを提案したい。
フリースクールに援助するほどの余裕はないが、調査費で支援する仕組みを検討している。不登校の方も利用できる夜間中学校が和歌山市、田辺市、新宮・東牟婁の3か所で開設準備中。またワーキングチームで当事者の声を聞き政策立案中。
7)来訪者と地元住民との交流を促進し、地域を活性化するために熊野古道「紀伊路」の世界遺産追加登録手続きに向けた取り組みを進められるよう提案したい。
今後の観光には物語性が必要と考えている。紀伊路のリレーウォークも人気だし有馬皇子の話などもあり可能性は高い。まだ追加登録について具体的な動きはないが、今年の20周年、その次の10年、次の20年を見据えて検討したい。
8)現在整備中の京奈和自転車道と「ビワイチ」をつなげるルートをナショナルサイクルルートとして認定されるよう取り組まれること、観光資源を上手にコーディネートできる人材の育成施策への支援を提案したい。
「太平洋岸自転車道」に加え、ぜひ参考にしたい。ただ自転車専用道路の整備には莫大な費用がかかることにも留意が必要。観光資源のコーディネートについては県南部では民間主導でどんどん進められているので紀北でもこのような動きがあれば。
9)各地の地縁団体やNPO等で人手不足が大きな課題となっている。県庁職員のみなさんにも様々な団体に参画いただける機会が持てればいいのだが。
ボランティア活動は各自の自主性に基づくものなので強制はできないが、日々の業務のなかで県庁職員と住民・NPO等、地域との関わりがどんどん生まれ、それが参画の機会につながっていくのであればすばらしい。
このフォーラムにおいては、岸本知事が国会議員の時に成立に尽力された「休眠預金等活用制度」を和歌山県内でももっと活用してほしいという知事からのリクエストもありました。わかやまNPOセンターでは、和歌山県NPOサポートセンターと和歌山県の共催として3月22日に休眠預金等活用制度に関する学習会を実施しますが、今後もこのような機会を活かしながら、機運を高めていきたいと考えています。
フォーラムは次年度以降も開催していきたいと考えています。その際にはぜひご参加ください。