「地域運営組織」づくりのお手伝いしてますのエントリーで、今年度から和歌山県内で組織化に向けた取り組みが本格的に始まった「地域運営組織」にコミットしています、ということをご案内しました。このほど、橋本市でワークショップが開かれまして、ファシリテーターを担当してきました。
現在、県内では橋本市と田辺市で地域運営組織導入に向けた取り組みが進められていますが、アプローチは両市で異なります。
橋本市は、介護保険など高齢者福祉の文脈で厚生労働省が主導している「生活支援体制整備事業」第2層協議体(市区町村レベルが第1層、中学校区・公民館区が第2層、各事業者・団体が第3層という3層構造となっています)の担当エリアごとに地域運営組織が設けられないか、とはじめから全市的な動きをみせています。
一方、田辺市は1つの公民館区をモデル地域と位置付け、地域の様々な組織のみなさんに集まってもらってワークショップを繰り返して合意形成を図ったうえで地域運営組織設立を目指し、このモデルを徐々に市内に広げていくという手法を取っています。
手法の違いですが、橋本市は比較的コンパクトな自治体であることと、県内で唯一の「橋本市自治と協働をはぐくむ条例」を制定しており、この条例の動きとリンクしていること。田辺市は近畿で一番広い自治体で、人口密集地域から過疎地域まで多様な性格を持つ地域から構成されており、一気に全市展開するのが困難、などの理由が考えられます。
さて、今回の橋本市でのワークショップでは、まず、橋本市の平木市長から地域運営組織の設立に向けた期待をお話しいただきました。比較的コンパクトと紹介しましたが、農村部からここ20年30年で開発されたニュータウンまで多彩な顔を持つ橋本市ですので、地域によって課題や困りごとは異なります。橋本市行政として市内一律に施策を打っていくのがどんどん困難になっていくことを踏まえたお話でした。
その後、わたしから橋本市の「はぐくむ条例」のポイントをおさらいした後、橋本市の現状と、このまま進んだ場合の将来の人口推計、介護保険受給者数・認知症患者数の予測、人口1人あたりの公共インフラ維持費用の推移などをご紹介し、なにか困ったら行政や議員のみなさんに頼んだらなんとかなる時代ではなくなってきていることをご案内しました。
そしてワークショップです。橋本市の第2層協議体は10圏域にわかれています。10のテーブルを数人から十数人が囲み、地域の将来への期待、その期待を活かすために必要なこと、この必要なことを実現するためにどのような仕組み・組織が必要か、の3つを順に議論いただきました。
やはり、担い手の不足感はどこも同じようで、多様な世代に地域のイベントに参画してもらえるよう変化が必要という指摘も。また、独居の方や交通手段が失われつつある高齢者のみなさんをどう支えるか、地域の居場所をどうつくっていくか、といったような意見が出ました。農村部からは都市部との交流を図ってはどうか、世界遺産に登録されている黒河道(くろこみち)を抱える地域からは地元主体で誘客ができないかなど、地域の資源を活かしたまちづくりへの意欲も聞かれました。
オンラインによる研修会なども盛んにおこなわれていますが、リアルに顔をつきあわせて協議をすることで生まれる熱量はやっぱりいいなぁと思ったワークショップでした。
年明けには田辺市でも引き続きワークショップが予定されています。引き続き、地元のみなさんの「サステナブルな地域づくり」に向けたお手伝いをさせていただきたいと思います。