9月下旬になっても夏のような日が続いていますので、今年1月末の大雪のときにクルマに積もった雪の写真を置いておきますね。
さて、現在わかやまNPOセンターでは、橋本市と田辺市で「地域運営組織」づくりに向けた取り組みのお手伝いをさせていただいています。
地域運営組織とは、「地域の暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域内の様々な関係主体が参加する協議組織が定めた地域経営の指針に基づき、地域課題の解決に向けた取組を持続的に実践する組織(総務省)」と定義されています。総務省の資料によると和歌山県内には60程度、このような組織があるとされています。総務省が市区町村を対象に実施した調査結果のまとめのようですので、総務省の定義に合致する団体の数ということになるかと思います。
既にメディアでも多数取り上げられていますが、地域の様々な組織は構成員の高齢化が著しく、また組織率も低いことも多く、従来のような地域活動が困難になり始めている、とされています。従来からの町内会や自主防災組織、婦人会や老人クラブ、PTAなど、あらゆる団体が同じような問題に悩まされています。NPO・ボランティア団体も同様ですね。
では、なぜこのような地域の組織・活動に参加する人が少なくなったのか。2015年の資料にはなりますが、内閣府が実施した社会貢献活動に関するアンケートによると、ボランティア活動の妨げになる理由の上位5つが「時間がない」(52.8%)、「活動に参加する際の経費(旅費)等の負担が大きい」(29.3%)、「十分な情報がない」(23.2%)、「活動に参加するために休暇を取得する必要がある」(22.7%)、「参加のための手続きが分かりにくい」(20.7%)、となっており、そもそも活動に参加するためのハードルが高いことがうかがえます。
また、厚生労働白書によると、約40年前は共働き世帯数が専業主婦世帯数の半数強にとどまっていたのですが、現在では共働き世帯数が専業主婦世帯数の2倍以上となっており、そもそも日中に地域の活動に参加できる現役世代が大幅に減少していることがわかります。
ということは、物理的に地域の様々な活動に参加することが難しい人が増えているということがうかがえます。
一方、総務省の「地域運営組織の形成及び持続的な運営に関する調査研究事業」によると、地域の組織が抱える「組織の課題」上位5位は、「人材不足」(84.5%)、「次世代のリーダー不足」(59.3%)、「現在のリーダー不足」(56.2%)、「事務局の人材不足」(52.6%)、「住民の当事者意識」(48.3%)と、とにかく人材不足を訴える声が多いのがわかります。
地域の活動に参加できる人も少ない、組織としても人材が少ない、となると、どこかで抜本的な見直しをしないとどうしようもない、ということなんですよね。
わたしの義父も町内会の役員をしていましたが、「なんせ跡を継いでくれる人がいない」とぼやいていました。それだけ、役員になることの負担感が地域の住民のみなさんには大きいのかもしれません。では、跡を継いでもらいやすいように、役員の負担感を和らげる(=いくつかの事業をなくす)ことができるのか、といわれると「これまでやってきたことを、すぐに取りやめるわけにはいかない」という話になったりします。
以前の「わかつく」でも書きましたが、PTAって学校に子どもを通わせている保護者が任意加入して組織されるものなのですが、うちの理事に聞いても「お子さんが通学されている6年間のうち、最低1年間はPTAの役員をお願いしたい」といわれたという話がありました。ある機会に、県内の中学校の校長先生にPTAについて聞いてみたのですが、「PTAは任意加入なのは間違いない。しかし(市全体で見直すならまだしも)単独の学校がPTAをなくすといったことは現実的に困難で、われわれも悩ましい問題だ」と話されていました。
結局のところ、既存の仕組みを変えるには相当な労力がかかる、ということなのでしょう。
さて、わかやまNPOセンターとしてお手伝いしている、橋本市・田辺市では、それぞれ異なるアプローチで地域運営組織づくりを試みています。片方は厚生労働省が主導する「生活支援体制整備事業」の第2層協議体(概ね中学校区を単位に、地域内で生活支援の仕組みづくりを担う事業体)を活性化させ、それを地域運営組織に発展させていこう、としています。もう片方は、モデル地域を設定し、現状把握と将来展望を共有し、ワークショップなどを繰り返しながら、理想的な組織体について協議を進めています。
どちらも相当な労力はかかると想定されます。しかし、和歌山県はここ最近1年で1万人人口が減少しています。このまま5年、10年と何もせずに経過したら…と考えると怖いですよね。
「いつやるの?」といわれると某予備校講師よろしく「今でしょ」という話なのですが、実は「(余力がある)今(のうちに)でしょ」ということではないかと思います。
必要な労力をかけながら、それこそ持続可能な地域のあり方を考える取り組み、時には熱く、時には文頭の写真のようにクールに、積極的に関与したいと考えています。